novel 5/183

朝6時の研究室は、珍しいことに静かだった。いつもだったら、泊まりで実験をしていた連中が大いびきをかいているのだが。昨日は皆、健康的に終電で帰ったらしい。

僕はコーヒーメーカーに、おはようと挨拶をしてから、メインのコンピュータを立ち上げる。スタンドアローン・オプション。携帯からFEメモリを取り出して接続。アプライド・データだけを読み込んでおく。読み込み終了まで推定2分。そいつはそのまま放っておいて、復刻版のiMacminiの電源を入れ、流れるような動作でコーヒーメーカーもセットする。無駄のない動きに我ながら惚れ惚れする。

しかし首が痛い。カラオケボックスで寝違えたようだ。iMacminiが "you got mail." と囁く。ざっと確認すると、指導教官からの迷惑メールのほかに、ケイからのメッセージが届いていた。携帯に送らないのは珍しいな、と思った後、昨晩から携帯の電池が切れていたことを思い出す。