エンジェル・ハウリングにでてくる精霊スィリーの奇妙な人生論集

「人間関係で重要なのはだ。まずは挨拶、そして金だ。
挨拶は第一印象を決める。金はその関係を長続きさせる。そういうことだわな?
不思議なことに、金を惜しまない奴はただの阿呆だが、
挨拶を惜しむ奴は馬鹿だと言われる。
愛想が無料だとしんじているわけだな」

「おいおい、若造は分かっちゃいないね。傷ついて損することはいつだってある。
だが泣いて走り去ったところで、損した分は取りもどせやしないぜ?」

「一見、親切と思える言葉を、すべて社交辞令だと割り切るところから、真の優しさは始まる。
そう思わんか?」

「人生ってのは、学べば学ぶほど賢くなり、突発的な事態にも対応でき、
ふさぎこんで理想と現実の分別がつかなくなる」
「……学ばないほうがいいんじゃない? それ」

「人生とはつまり、成功者への妬みと失敗者への蔑みに挟まれた凡人どもの葛藤ゲームだ」

「人生は、死ぬ前に、大切な儀式がある――」
「葬式じゃないぞ。あきらめる、て儀式だ」

「良かろう。とりあえず異議さえ唱えておけば、転落せずに済む。それが人生だ」

「人生に危険はつきものだが、危険な人生生きてる奴なんざ見たことないな。何故だろか」

「人生ってのは、挫折と挫折と挫折と挫折。その隙間に一個くらいは成功があるかもな。そんなもんだ」

「人生ってのは、いくら尖ってみたところで人より余計先へと進めるってもんじゃありゃせんよな」

「そうか? 人生の指針とかはあると便利だぞ。
悩まんで済むし、なにより、どーというほどもない瓦石のごとき生き様を
多少なりとも見栄えのするもんにしてくれっのは高の知れた信念なわけで」

「泣くのに理由がいるわけでもないだろが、だが泣いてるうちに理由は思いつくもんだ。
あまりにたくさん思いついて、気がつくとなにがなんだか分からないってこともある。
それで泣きやむんだ。そんなもんだな」

「頼らぬ人生を送ってる奴だけが頼られる」