novel 2/183

「どうしたの?」と、涼やかな声。そのイントネーションは、7年前の初恋の人に似ていた。僕はのろのろと顔を上げる。誰もいない。と思うと同時に、携帯が鳴る。面倒で、相手も確かめずにでる。「もしもし」と言った直後に、携帯の電池が切れていたことを思い出す。思い出しながら、けれどもそれ以上の思考はできず、とりあえず受話器を耳に当て、ぼんやりと時をやり過ごす。ふと気づいて液晶を見ると、やはり電池は切れていた。

相当酔っている。と自己評価。「酔ってる、が

  • to be continued.