失われた場を探して──ロストジェネレーションの社会学

失われた場を探して──ロストジェネレーションの社会学

外国の日本研究者からみた、教育レベルが低い人(直截な単語選びははさすが)が、場から場へとうまく移行出来ないことについての社会学的研究。


論旨が明快でいいですね。
内容が深いわけでは無いんだけど、変に批評家…というか、哲学というか現象学と言うか、フランスかぶれというかカルチュラルスタディかぶれと言うかになっておらず、シンプルに社会の「仕組み」を研究していて好感が持てる。

本来は社会学って、こういう工学的(エンジニアリングな)活動であって、変に文学的(サイエンスな)活動ではないですよね。
日本だとそのあたりがごっちゃになってる気がするんだよな。



アカデミックな抑制も効いていて、この手の題材にありがちな印象主義もなるたけ排されているのが貴重です。




この本は、「高校→企業」という移行段階についての調査が主になっていますが、実のところ「大学院(後期)→アカデミックポスト」というのも、まったく同じ構図なんじゃないかな、と思ったり。