ハッカーと一般人の端的な違い(あるいはコンピュータマニアが理解できない人へのささやかな説明)

コンピュータの特徴はその可塑性である。自在性、あるいはメディアエミュレーションといっても良い。


新聞紙、テレビ、タイプライタ、ウォークマン、あるいはその他様々なものとコンピュータの根本的な違いは、その設計思想にある。


前者(新聞紙、テレビ、タイプライタ、ウォークマン)は、その機能を最大限はたすよう設計されている。新聞紙は安く、読みやすく、持ち運びしやすいように。テレビは鮮明な画像を、大画面で。タイプライタは、活字を誰が打っても綺麗に紙に書き留める。ウォークマンは、高音質な音楽をどこでも独り占めできるよう、軽く、バッテリが長持ちし、たくさんの曲が入るように。



しかし、後者(コンピュータ)は、そうではない。コンピュータはやたらと速い汎用プロセッサで何でもこなそうとする。たとえば音楽を再生したり、動画をエンコードやデコードするなら、それ専用のチップを積んだ方が遥かに速く、シンプルだ。寡聞にしてみたことがないが、ワードプロセッサ専用のチップをつくるなら、それだって同様だろう。実際、昔の「ワープロ」は、そのようにして動いていた。文字を読むなら、ブラウザより新聞紙の方が読みやすくない? 動画を再生するなら、専用機の方が綺麗で簡単だ。コンピュータって、何でもできるって言うけど、中途半端だよね。操作も面倒くさいし。

しかし、コンピュータの目指す機能は、そういったものではないのだ。

では、何を目指しているのか?

それは(くりかえしになるが)「可塑性/自在性/汎用性」だ。特殊なチップは嫌われる。「そんなものははずして、もっと高速なチップの上でエミュレートしろ」となる。ま、予算の問題もあるし、そううまくいかないこともあるのだが。どんな機能でも、どんなメディアでもエミュレーションできることを目指す。要は、固定化されるのを極端に嫌う。言葉をかえれば、どうにでも好きなようにこねくり回せるようにつくられている。



そして(いまから重要なことを言います)、その「いくらでもこねくり回す」そのことが、コンピュータマニア(ハッカー)は大好きなのだ。実際のところ、実行できる機能なんかより、こねくり回すのが面白いのだ。



だから、彼ら(僕ら)は、新しいOSを買ってきて、それが満足に動かなかったりすると、すごい勢いで文句をいいながら、じつは1パーセントくらいは嬉しかったりする。いろいろ設定をこねくり回して、なんとか動くようにする作業ができるからだ。


こんな話しを聞くと、普通の人は、「うわ。マニアだなあ」と思うのだろう。


だが、実のところ、これは思われているほど、特別なことではない。



ここで一つ質問だ。

Q. あなたは会社で押し付けられたPC(たぶんWindowsだろう)の壁紙を、

1. メーカーロゴがでかでかと書かれたもとのままで使っている
2. 自分の好きな壁紙に変えている



1. を選んだ人。まあ、それも一つの生き方なので、幸せに生きてほしい。
2. を選んだ人。君もハッカーの入り口にたっているんだよ。だって、君、ちょっと気に入らないからって、パナソニック液晶テレビの色を、3秒で黒からブルーに変えることなんてできないだろ? 新聞のフォントが気に入らないからって、ちがう活字に変えることだってできないんだから。


あとは、そう。
気が向いたときに、ウインドウのデザインでも変えてみてくれ。
あと、IEが気に入らなかったら、ちょっとGoogleかYahooで調べてみて。いまは、いろいろなブラウザがあるから、好きなのを選んでくれ。
あ、新しいブラウザで見てみたら、ブログのデザインが変わっていて気に入らないって? じつはいままで、世界の何割かの人は、君のBlogがそういう風に見えていたんだ。CSSという言葉で検索してみることをお勧めするよ。
え、このブラウザには機能が足らない? Firefoxというブラウザには拡張機能というものがあるから、ちょっと探してみたら?
それでも気に入らないなら、自分でつくることもできるし。
最近単純作業ばかりで飽き飽き? VBAとかバッチファイルとかで検索してみた?
このアプリは気に入らないって?
そう、なら自分で。。。