真夜中の五分前 five minutes to tomorrow side-A

綺麗な作品。
ところどころ、
明らかに村上春樹そのままなところがあるが、
まあご愛嬌。

現実の世界が舞台だけれど、
やはり、
実際の現実ではない、
キレイで、すっきりとした、
ソリッドで、フリクションの微小な、
たとえて言うなら空のような、
そういう、とても理想的な世界の話。

うじうじしたものの無い。
素晴らしく幸福な世界の話。

似たものを探すなら、
強力な放射線で殺菌した、
微生物ひとつ残っていない、
すばらしく清潔できれいな世界。

ここは、そんな世界ではないと、
現実に嘆息しながら、
でも、そこに逃げるのは、
心地よい。

そんな感想。そんな憧憬。